極上社長と結婚恋愛
 

義理の兄妹になるという先入観を持たれる前に、素の彼女と話をしてみたかった。

窓の向こうの小さな店内で柔らかな表情で花に触れる彼女は、どんな声でどんなふうに話すんだろう。

他愛のない興味と少しのいたずら心で鉢植えの配達をお願いした。

鉢植えを持って社長室に入って来た彼女が、落ち着いた様子でガーデニアの手入れを説明してくれた時、想像していたとおりの柔らかな声や丁寧な口調、花に対するひたむきな気持ちが伝わってきて好感を持った。

この子が義理の妹になるのか。
真面目でひかえめな印象の女の子。
きっと、いい家族になれそうな気がする。

なんて思いながらその姿を眺めていると、不意に視線が頼りなく揺れた。

花に関することを話しているときはとても落ち着いていたのに、俺の意識がガーデニアではなく自分に向かっていると気づいた途端、わずかにうろたえはじめる。

かすかに上ずった声。泳ぐ視線。上気した頬。

その動揺を悟られないように、必死で隠している様子がいじらしく見えてしまった。

 
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