極上社長と結婚恋愛
母から結婚する相手は建設会社の経営者と聞いてはいたけれど、その会社名を聞いて驚いた。
建設業界に疎い私でも知っている、国内有数の大企業だ。
裏表のない性格の豪快な母が、そんな人と結婚して、社長夫人になるなんて……、と少しこれからの母の生活を心配していると、「心配無用だよ」とお義父さんに優しく微笑まれた。
経営は若い世代に譲り、一線から退くことを以前から考えていたらしい。
会長として多少経営に携わりはするけれど、これからは母と結婚してのんびり暮らしていきたいと思っていると言われ、それなら安心だと胸をなでおろす。
「和昭さん。そういえば、直哉さんはお仕事忙しいの?」
「約束の時間はちゃんと伝えてあったんだけど、仕事で少し遅れてるみたいだな。あずさちゃん、申し訳ない」
母の問いかけにお義父さんがこちらに頭を下げてくれる。とんでもないですと慌てて首を横に振った。
「お仕事なら、仕方ないですよ」
直哉さん、というのはお義父さんのひとり息子で私より少し年上らしい。