極上社長と結婚恋愛
幼い頃フランスで過ごしたという祖母の趣味で、祖父の家は建物も庭も南仏風に美しく整えられていた。
洋館のようなデザインの大きな一軒家は珍しくて、幼かった俺は都心から少し離れた場所にある祖父の家で遊ぶのが大好きだった。
赤レンガと漆喰の外壁に素焼きのオレンジの瓦屋根。
ほのぼのとした雰囲気のある温かい洋館から続く大きな庭。
青々とした芝生の真ん中で立派な枝を広げた欅。
木製のパーゴラの上に蔦を伸ばすブドウの木、咲き誇る色とりどりの花。
緩やかな曲線を描く小道に、小さな池。
木立の中にひっそりと建つ秘密基地のような東屋。
土の匂い、花の香り、風の音、鳥の声。
マンションで暮らしをしていた俺には、目に映るもの聞こえるものすべてが新鮮でわくわくした。
自分の名を呼ぶ母に見つからないようにしゃがみながら、この庭がどこまで続くのか確かめずにいられなくて目を輝かせて緑の中を前に進む。
庭から続く森は緩い丘になっていて、駆け上ると一気に視界が開けた。