極上社長と結婚恋愛
「あ、大丈夫です! 私、ひとり暮らしをしようと思って部屋を探しているので」
せっかく再婚して一緒に暮らしはじめるふたりに、こんな大きな娘がついていくわけにはいかない。慌てて首を横に振ったけれど、お義父さんは頷いてはくれなかった。
「仕事がそんなに忙しいのに、ひとり暮らしなんて大変だろ。気を使わなくていいから、一緒に暮らそう」
「いえ、でも……」
穏やかだけど、決して譲らない力強い口調。建設会社の経営者というだけあって、優しげな中にも漂う威厳に思わず口ごもる。
強引に断るのも失礼かな。
でも、いつも自分のことを後回しにして私を優先してくれた母が、やっとつかんだ幸せな生活。できれば邪魔なんてしたくない。
どうやって言えば、角をたてずにひとり暮らしを認めてもらえるだろう。
私が眉を下げて困りはてていると、個室を区切る襖が開いた。
「すみません。遅くなりました」
聞こえてきたのは甘く包み込む、ラムズイヤーのような声。驚いて顔をあげた私を見て、その人は微かに目を見開いた。