極上社長と結婚恋愛
食前酒が入っていた繊細なカットが美しい江戸切子のグラスが、バランスを崩して転がる。
……あ、落としてしまう! テーブルから落ちて、割れたり欠けてしまったらどうしよう!
手を伸ばさなきゃ、そう思ったけれど咄嗟に体が動かせずに、ただ背筋を冷やす。
すると、見開いた視界に長い指が入ってきて、グラスを柔らかく受け止めてくれた。
恐る恐る視線をあげると、直哉さんがこちらに身を乗り出していた。
吐息が聞こえてしまいそうなほど近づいた距離やまっすぐにみつめる綺麗な視線に、頭が真っ白になる。
「あ……」
「大丈夫、割れてないよ」
無事にキャッチしたグラスを視線の高さに掲げて、「セーフ」と笑って見せる。
その表情にようやく我に返って頭を下げた。
「す、すみません!」
「謝らなくてもいいよ。中も空だったし」