極上社長と結婚恋愛
 
「ひとり暮らしなんてしたら、不安なことも多いだろうし知らない男とやりとりしなきゃいけないこともあるだろう。やっぱり三人で暮らすことにしよう」
「あの、でも……」
「私もそうしてくれると嬉しい。それじゃなくても、あずさはあぶなっかしいところがあるから。高校時代はストレスをためすぎて倒れたことがあるし、辛いのを外に出さずにため込んですぐ食が細くなるし、具合が悪いのに無理してお店に立ち風邪を重症化させたこともあるし。あんたにひとり暮らしをさせたらどっかで行き倒れてないか心配で仕方ないわ」

母に容赦なく過去の失敗を並べられ、思わず顔をしかめた。

「う……。これからはちゃんと気を付けるから……」

いい大人になって、ろくに自分の体調管理もできないなんて、恥ずかしくてうつむく。

「あずさは自分の気持ちに鈍感で甘えるのが下手だからね。私の手をわずらわせないようにおりこうでいようって、頑張らせちゃったせいね、きっと」

いつもははきはきとした口調の母が、ひとりごとのようにぽつりと言った。そんなことをさみし気に言われると、私は困って口をつぐむしかなくなる。
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