cafe レイン
「賑やかだね。本当に人気店になっちゃうな」
「そうだねえ」
私と律ちゃんは周りを見渡してそう話した。
運ばれた料理はすごく美味しかったし、変わらない味だった。会話をする余裕もなく、私と律ちゃんは会計へと向かう。
丸山さんはすぐに私達の前へと来るとにっこりと笑う。
「ありがとうございます。足を運んでくれて。もう会えないって思ってました」
「……いえ」
どう反応したらいいかわからず、私は小さく首を振る。
「あ、今日はお代いいです。またお店に来てください」
「え、そんな」
「いいんです。全て小野寺さんのおかげなので。あ、今日こそはライン返信くださいね」
「えっ」
思ってもいなかったセリフに目を瞬かせていると、すぐにお客さんから声がかかり丸山さんは返事をしていた。
「それじゃあ、すみません。今日はありがとうございました」
「……ご馳走でした」
にっかりと笑う丸山さん。店を出た私は何が起こったのかわからなかった。すぐに律ちゃんが私の腕を揺さぶる。
「ねえ。ライン返信って何」
「……わかんない」
「何で」
地団駄を踏みそうな様子の律ちゃんに私は眉を情けなく下げ、答える。
「ブロックしていたから」
「あ」
通話していた時のことを思い出して、律ちゃんはバツが悪そうにした。
「いや、でもオーナーさん何か連絡くれていたってことだよね」
すぐにフォローするように律ちゃんが話し出す。私はそれに力なく頷いた。