cafe レイン
「うっま。仕事後のビールってなんでこんなうまいんですかね」
ぐいっと一気にジョッキの半分近くまで飲んだ沖くんがそう言った。
「こっちはレモンサワーだけどね」
「あはは、でもおいしいのは認めるからいいんじゃない?」
「そうです! 大石さんは細かいこと気にしちゃダメですよ?」
「私はただ事実を述べているだけです」
私に賛同するように沖くんが言ったのを、バッサリと切った律ちゃん。
沖くんと律ちゃんは顔を合わせば、こうしてなにかと言い合いをしている。
私はそれを宥めたりする側。なんだかんだ二人が仲良しなのを知っている。
「ま、そんなことはいいよ。それよりも今は楓の話を聞きたいの」
急に私に話が振られて、お酒を吹き出しそうになった。驚きながら律ちゃんを見る。
「だって、沖って余計なのついて来たけど本当は私はその話を聞きたくて誘ったんだから」
「余計なのって酷い」
「はいはい。で? なにがあったの」
律ちゃんは沖くんにいつもより当たりが強い。けど、彼は全く気にしていていないようだった。
私の方を見ると「話ってなんですか」なんて聞いてくる。
「えっと、もう少しお酒が回ってからがいいんだけど」
「恋バナだからいいじゃない。女の子ならどっかのカフェとかでしててもおかしくないよ?」
律ちゃんの言うことに心の中で、確かにと頷く。
寧ろ、ランチ中に話したりしていてもおかしくない。