ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情

「あ、急ぎで電話一本しとかなきゃなんだった。」

「!」

こうなったら先手必勝実力行使。
電話してる隙に先に応接室へGOだ!

そもそも、本当にダメだったらこんなタイミングでしょうこちゃん、電話なんてしないでしょ?

面白がっているしょうこちゃんの反応を見るに、相手もナカナカ手強いのかもしれない。

あーすごい楽しみ!



コンコン。
まずは応接室をノックして、返事を待つ。

「………。」
「………。」

ちぇっ。やっぱりこんな初歩手では聞かせてくれないか。

ここは何事も無かったように振舞ってみる。

「失礼しまーす」


一言声をかけ、返事のないままの扉を開けると、無駄に姿勢よく座っていた男が立ち上がり、こちらに会釈した。

ああ、確かに声を響かせるのにイイ骨格だ。

「お待たせして申し訳ないですー。今、オーナー電話中でしてー。」

へらっと笑いながら話しかけるも、彼は貼り付けた通常仕様の営業スマイルと了解を示す、制すような片手上げで、サラリとかわしてくる。

むむ、なかなかスマートに無言を貫いてくれるな。これは通常パターンの話しかけでは聞かせてもらえなさそうだ。


「今回のコラボイベントの、デザイン会社の方ですよね?」

こくり。イエスを表す頷きが1つ返ってくる。

「今後のお付き合いの上での親愛の意も込めまして、カジュアルに話しかけても?」

こくり。余裕の笑顔が返ってくる。

なるほどなるほど。整った自分の顔立ちにたいそう自覚のあるやつの笑い方だ。
(なんかムカつく。)

これは、声だけではない楽しみも発掘できそうだ。

では。

「まけぃたくーん。そろそろなんか喋ろうよー?」
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