ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
コラボイベントの企画もいよいよ大詰めか。

今日は初めて、彗大の働くデザイン事務所にお邪魔する。

少し早めに連れてって欲しい!としょうこちゃんにせがんだら、「やっぱひとりで行ってきて。神山くんには了承とってるから」と、若干噛み合ってないような返事が返ってきた。

原因はどうやら向こうの、“元カレではない上司”みたいだ。

珍しく少し上の空で気になったけど、今は触れないでという空気があって、素直に触れないでひとりで電車に乗った。

待ち合わせの駅で降りて時間を確認すると、まだ20分ほど時間に余裕があった。

しょうこちゃんがいればそのまま事務所に突撃できたけど、居ないので待ちぼうけだ。

仕方ない。LINEだけ入れてテキトーに時間を潰すか。

それからの20分は、なんというか忙しなかった。

クリスマス前の、イベント彼女募集のプラカードを引っ提げだような飢えメンズや怪しげな勧誘に、やたらと追いかけ回された。

イベント前の駅ってヤバイんだな。
ぼぅっとしてたらカモられる!

こんなこと位で彗大を呼び出すのも違うと思いつつも、SOSに気付いてほしいとも思う複雑な感情。

LINE連投に、未読表示。

少しだけ期待した気持ちがしぼんで油断した時に、今日一番のメンタル強めな飢えメンに捕まった。

「おねーさん可愛いね、いくつ?」

カモられた!
しかも初対面の女にソッコー年、聞いてくるなんて最悪なパターンだ。

ダラけた発声にぴったりの、チャラけた服装とニヤけた表情。

こんなヤツに“イケる女”と思われた自分が一番屈辱だ。

相手にしないよう極力無視して歩き出すも、どこまでもついてくる。

これ、ヘタに女子トイレとか入ったら、ヤラして貰えるとか勝手に勘違いしそうなヤツだよね。

「じゃあ、番号教えてよ」
「スマホ持ってません」

彗大が来るまでにどう退散させようか。
思った矢先に鳴る着信。なんて最悪なタイミング。

「いやいや、今、めっちゃスマホ鳴ってるじゃん」
「わたしじゃないです持ってないです」

「もーそんな嘘いいからー。
LINE交換くらいならいいっしょ?」

早く切れてよっ!今まで全然鳴らなかったくせに!
鳴った時にすぐ気付けるように、なんて最大音量にするんじゃなかった!

「よくないですわたし彼氏いるんで!」

「うん、さっきもそれ聞いたし。けど友達くらい増やしても、よくない?」

彗大のアホ……

「よくねー、よ!!」




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