ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
最近の俺はどうもおかしい。

神経が摩耗してきたとか、職業病とか、そういう類だと思うんだが。


「まけぃた、はい!今日は歌ってみよっか!」

「……今度はカラオケかよ」


俺のストレス値メーターが麻痺したことで、俺の脳内弁護士は手に負えないとばかりに早くも潔く退任してしまった。

(因みに脳内ドクターは、輸血ネタでの引責辞任により、既に旅に出た模様だ。)


こいつにはパワハラ要素が強過ぎて、一周回ってこういうもんかと思わす力があるのかもしれない。

文句は言ったかもしれないが(記憶がおぼろげ)、今だって結局のこのこカラオケまでついてきて駆け付け一杯目のビールなんか受け取ってんだから、もう多方面でリスペクト対象だ。(もちろん嫌味だ。)

つーか。コラボ企画でこいつに付きっきりになってからはほぼ事務所に居られないからと、20時に事務所側で俺のタイムカードは切られている。

だとしたら、21時を回った今って、完全に業務時間外だろ。
その上、アトリエの外って。
(あまつさえ片手にはアルコール。)

コレ、一週間目にして、もうプライベートまで侵食されてきてんじゃねぇの?

「お前、このことオーナー知ってんのかよ」

「え?しょうこちゃん?うん、カラオケ申請だしたよ?」


じゃあなんで俺は今ココにいるんだ?

これは仕事なんだから、普通ならアトリエ外でもこっちの実働時間内で収めさせるのがオーナーの立場だろ。

しかも、頭イカレてたってこいつは一応女だぞ?
夜の男女の2人カラオケって、なんか微妙なんだけど。

一体何考えてんだ?あのオーナー。


「はぁー、よくokでたな」

「? 20時以降なら神山フリータイムですって事務所からok出たって言ってたよ」


て、俺を売ったの事務所(こっち)側かよーー!
何やってんだヘボ上司!ヘボ坂上!

しかも俺のプライベート、切り売りどころかフリータイムってどんだけ安い扱いだよ!

(つーか、そんな労基違反も甚だしい許可、当たり前に出させるあのオーナーがこいつ以上に底知れねぇ!)

つまり。

コレは完全なサービス残業(しかも接待残業)って認識に下方修正するべき件なのか。
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