ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
以上が、まぁざっくりとしたダイジェストなんだが。

……微妙だ。

コイツだって、予想してなかったわけじゃないだろう。

普段は普通のラブホなんだから、いくらハロウィン仕様だと言っても、簡易的なカボチャ風船やクッション、壁紙、ベッドカバーくらいで、たかが知れてる。

凝った作りならさっきのイルミネーションの方が数倍凄かった。

本当にさっきから、何考えてんだコイツ?

「彗大!」

「なんだ「ベッドーーン!!」

「?!」

突然呼びかけられ突進してきたコイツに、俺のカラダがコイツ諸共ベッドに吹っ飛ぶ。

ああ、ベッドにドンでベッドンか!と冷静に考えを巡らせたところで、俺の学習機能付きの本能が緊急伝達をする。

まだ続くだろう色仕掛けに警戒せよ。

「いてぇよ」

「わたしはそんなに!」

「はしゃぐなよ」

「じゃあスる?」

「シねぇ」

ほらやっぱりな。
しかし何がそんなにおかしいのか、コイツがケラケラ笑いだす。
ま、からかわれてんだろーな。

「彗大ってやっぱバカだー」

「俺は至ってマトモなだけだ」

「せっかくここまでお膳立てしてんのに?」

「用意された女には乗らない主義なもんで」

「下ネター!」

妙なテンションの高さで俺の胸をバンバン叩いて、今度は大爆笑する始末だ。

やっぱ今日のコイツはおかしい……って。

「お前、酔ってる?」

「酔ってないよー!」

いや、間違いない。鼻をかすめたアルコールの匂い。

部屋を見渡すと、絨毯にビールの缶が1つ、転がっているのが見える。

お前はまた、次から次へと……!


「呑んだのは一本か?」

「んー?多分」

なんで多分なんだ。なんではぐらかす!

こりゃ、その辺にあと数本は転がっているのかもしれない。

「……はぁ、歩けるか?」

「歩けなーい!ふふふふふっ!」

あー酔っ払いアルアルかよめんどくせー。喋れば喋るほど、妙なテンションでひたすら笑う。

どーやらコイツは、酔うと笑い上戸になるらしい。

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