ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
いつも何考えてんのかわからんイマイチ掴み所のない女だったけど。

「アホか。画家が枕営業すんな」

「でもっ、む、」

「でもじゃねぇよ」

盛大泣いて顔中の至るところから出る汁と言葉の続きを、大量のティッシュで塞ぎながら手荒く拭き取る。

俺無しじゃ描けないならずっと側にいてやる。
つーか、俺無しじゃ生きられないくらい甘やかしまくってやる。


「おまえはおまえだろ。そんなことしなくても側にいてやるから安心しろ」

「む、ノー、む、ノーえっち?む、」

重点的に鼻から口にかけてティッシュをグイグイ持っていくも、どうしてもハッキリその辺は確認したいらしい。

む、む、と押さえつけられながらもしつこく聞いてくる。

出来ればここは、後々のことを考えるとあまりハッキリなしとは言いたくない。

「……まぁ、ビジネスでは」

「む、それって」

「いーから!もー寝ろ!」


雑に拭かれて痛がるコイツに、安堵の表情が戻る。

「へへー、彗大って、男前だよねぇ」

張り詰めていたモノがなくなったからか、さっきより動きと喋りが鈍い。

やっと寝てくれる兆候に、ほっと胸をなで下ろす。

あーしんどかった。これでこっちのハニートラップ警報も解除できる。

「気付くの遅ぇだろ」

「うん、実はちょっとだけね?」

「?」

「内緒だけど、ちょっとだけ、普通にえっちしたかったなぁ、なんて……」

寝落ちる寸前。とんでもない発言を残してコイツの意識がプツリと落ちていく。

「……本人目の前に、一体誰に内緒の話だったんだよアホ女!」

これも付け込む為の計算だったら。

それでももう手遅れだから、考えるだけ無駄な話だよな。

次の朝、ケロッといつも通りのコイツが想像できて、しっくりき過ぎて、割とこの日は引きずることなく俺も寝た。

そろそろ俺の神経もコイツ仕様に図太く進化してきてるようだぜ!

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