ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
「神山。念入りな調整もいいが社さん、そろそろ駅まで迎えに行かないと待たすんじゃないか?」

12月に入って、二週目が始まる頃。

今まで社優李が描き貯めた作品をどうアレンジして構成するかの話を聞きに、今日初めてアイツがウチの事務所に来る。

そろそろコラボの本領発揮。これだけの資料をまとめて揃えれば、他のヤツでも説明だけならアイツを満足させられる完璧な仕上がりだが。

「まだなら別の手空いてるヤツ行かすか?」

俺が、絶対アイツを満足させてやる。

「いえ俺が。そろそろ出ます」

「つーか、祥……宮下オーナーが一緒なら迎えとか必要なくね?」

「……。」

ここは、敢えて呼び方を言い直したオーナーとこの(ヘボとはいえ)上司坂上との関係を聞いてやるのが本来の神山彗大的正解なんだろうが、今は時間もなければ正直かなりどうでもいい。

「宮下オーナーなら急用とかで、今回は同席しませんよ」

「え?!」

「では、急ぎますので」


気遣う言い回しも何のフォローもなく、後ろで悶々とするヘボ坂上を放置する。

あの反応を見る限り、オーナーの弱みを握る絶好の機会かもしれないが。

想像してなぜか寒気がする辺り、諸刃の剣のような不穏電波を感じとる。

触らぬ神に祟りなし。さっさとアイツを迎えに行こう。

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