歪な光
海に着くと、夕陽が一筋の光の道を海に作っているようで、私は目を奪われる。





美しくて、初めてきた海の音。
幻想的で、壮大な絵画を見ているようだった。





「綺麗」





か細く思った言葉が漏れた。





その横で、瞬もこの光景を見つめる。





壮大なものをみると、自分がちっぽけに見えるって、本当なんだな。






そして、いつも着飾った心も、飾りを全て波にさらわれたように、晒け出されている気分だ。







今なら、私の想いも瞬に伝えてもいいかな?






怖くて言えなかった。
居場所をなくしてしまいそうで、言えなかった言葉を、瞬に受け止めてほしいと思う。






「瞬ちゃん」






「どうしたの?」






真剣な瞳を瞬に向けると、少し心配そうに私をみている瞬の顔がある。





いつもすぐに、不安そうな顔をするんだから。





でもね、その私を大切に思ってくれているから、不安になったり、焦ったり、必死になってくれることを最近気づいたんだ。






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