歪な光
その時、私の目の前で人が立ち止まった。





「そこで、何してるの?」





私が顔を上げると、目の前に居るのは瞬だった。





それも、少し怒ったように私をみている。でも、警察の制服ではなく、私服だった。





「瞬…」





私は、名前を言おうと思ったけど、あることを思いつき、呼び名を変えた。





「お巡りさんじゃん!どうしたの?私服でー」






お巡りさん




その単語にヤマジは焦ったように、瞬を見た。
その視線に、瞬もヤマジをみる。





「あなたは、この子とどういう関係ですか?」





事情聴取をするように、厳しい声でヤマジに尋ねると、ヤマジは走って逃げて行った。





「あ、こら…」





ヤマジを追いかけようとする、瞬の袖を私は掴んだ。





奴を助けたわけじゃない。





奴が捕まれば、私も捕まってしまう。





それが怖くて、勝手に手が動いた。




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