脳内☆彼氏
裏切れるの?
また放課後がやって来た。私はノロノロと音楽室に向かった。
先週から始まったクラブ活動。私は合唱部に入部した。

カラオケとか好きだし!合唱とか楽しいかも?とか考えてた私が甘かった。


全体練習。2回程通して歌った後で、副部長の声が飛んだ。
「観月さん!また音はずしてる!」

わたしは小さな声で「すみません」とつぶやいてうつむいた。周囲からクスクス笑い声が聞こえる。恥ずかしくて顔が真っ赤になった。

合唱部に入るまで自分が音痴なんて知らなかった。知ってたら最初から合唱部なんかに入らなかったのに。
でも、入ってしまったらなかなか辞められない。部活の時間は苦痛でしかなくなっていた。



部長がため息をついて振り返った。
「観月、お前は準備室で個別練習。他の部員の迷惑になるから。」
そんな事言われたのは初めてだった。私は今度は真っ青になった。

私そこまでひどいの?

私は部長の後について、音楽室の奥にある小さな音楽準備室に入った。

…最悪、ほんと最悪。
よりによって部長と二人きりなんて。



合唱部は、ほとんどが女子部員だけど、混声合唱団としてコンクールに出るために、顧問にかき集められた男子部員も数人いる。男子部員は大抵運動部と掛け持ちしていて、週一回位しか出てこない。そんな中、男子なのに部長に選ばれた二ノ宮先輩は、陸上部と兼部してるのに合唱部の活動にも熱心で…女子部員にすごく人気がある。

サラサラの長めの黒髪に、眼鏡。線が細くて、美形。そんな人と狭い準備室で二人きりなんて。

女子部員全員の視線が突き刺さる。

…怖!
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