脳内☆彼氏
妄想だよ☆
めぐ達を見送って立ち尽くす私を捨華が抱き締めた。

(大丈夫だって!俺がいるって言ってるだろ?)

捨華は、めぐ達が行ってしまうまで抱き締めていてくれた。

(…わかんないよ、どこがわがままとか、自分じゃわかんない。)
(わかんないなら、しゃべらなければいい。適当に相槌うっとけよ。)

(…捨華?)
(わがままとか本音とかは俺が全部聞いてやる。俺以外の奴に心を開くな。)

(…でも、あんた私の妄想じゃん。)
(そうだ。だから俺だけがお前の全部を認めてやれる。愛してやれる。)
(…でも、妄想じゃん。)
(花音は俺が必要だろ?)

私は頷くことが出来なかった。

(愛してる。愛してる。愛してる。)

捨華は、一歩ごとに歌うように繰り返しながら、私の手を引いて歩く。

(妄想だよ。妄想だよ。妄想だよ。)

私も歌うように答える。私は一度も捨華に好きだと言った事がない。

だって妄想だよ?

妄想の声に応えたら、一線を越えてしまいそうで、本当に狂ってしまいそうで怖かった。
そんな時は、捨華が闇からの使者のように思えた。

甘く囁くは、狂気への誘い

いつかは、捨てなければならない妄想。

だから私は彼を捨華と名付けた。

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