鬼部長に溺愛されてます
「どうかしたのか」
いつの間に近づいていたのか、すぐそばで聞こえた声に再び肩が震える。
気配まで消してしまうなんて、もしかしたら桐島部長には本当に血が通っていなかったりして……なんてことを考えた。
「いえっ、別になんでもないです」
慌てて誤魔化す。
「見せてみろ」
「はい?」
「見せてみろと言ってるんだ」
桐島部長は強い口調で言って私の手を強引に掴み、棘の刺さった指先を顔のすぐ前まで持っていった。そして、おもむろにメガネを外してそばのテーブルへと置く。
メガネを外したら見えないのでは……?
どうするつもりなんだろう。
私が緊張に身体を硬くしていると、桐島部長が「棘か……」とポツリと呟く。
そして、スーツの襟元に付けた社章を外し、その針の先端を私の指先に突き立てた。
チクっと走る痛みに思わず手を引っ込める。