【完】姐さん!!







翌日。

なるみと登校すれば、案の定すぐに女の子たちに囲まれた。原因は誰よりも俺が一番わかってる。



「ねえ衣沙! やめるってどういうこと!?」



「あたしたち本命は許容して遊んであげてたのに、突然やめるなんてナシでしょ。

粟田さんだって良いって言ってくれてたのに」



「……だから説明した通りだよ。

もう俺、遊ぶのやめようと思って」



教室に押しかけてくるのは、何も同学年の子だけじゃない。

先輩やら後輩やら、俺がどれだけ遊んでいたのかは言うまでもない。さすがに全員相手にしてられなくてどうしようかと思っていれば。



「……衣沙はただ、優しいだけよ」



うしろから腕をまわされて、一瞬驚く。

それがなるみだったから余計に驚いて、振り返って彼女の顔色を伺っていれば。




「わたしが、別れるって言ったの」



「え、」



「衣沙と一緒にいるの疲れたから、これ以上遊ぶならもう別れるって言ったの。

……そしたら、やめてくれるって」



机に腰を下ろしてる俺のうしろから肩に顎を乗せているなるみは、綺麗に微笑む。

そのくちびるから紡がれるのは明らかに嘘、なんだけど。



「粟田さんが言ったなら、仕方ない、よねー……」



「それなら衣沙くん先にそう言ってよー。

なるみちゃん優先なら仕方ないじゃんー」



なぜかあっさり納得して、「仕方ない」と言いつつ帰っていく女の子たち。

……さっきまでの文句が嘘みたいだ。



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