【完】姐さん!!
むっと顔を背けてはみせるものの、特別嫌なそぶりも見せない。
それをいいことに「フリは続ける」と言い切れば、なるみはこくんと小さくうなずいた。
「まあ、そうなったとしたら。
なるちゃんは彼氏できないだろうからごめんな」
「……べつにいい。彼氏いらないし」
「欲しいって言ってなかった?」
「……衣沙がいてくれるからいい」
え、なにそのかわいい発言。
もしかして俺試されてんの……?
っていうかもうすでに俺の気持ち気づいてる?
もうバレてもいいや、ぐらいの気持ちでせまってるのはたしかだけど、気づいた?
「そういやさ、ツキのことどうすんの?」
「さお?」
「うん。
その気がないなら、はやく断われよ?」
「ああ、うん……大丈夫」
ならいいけど、と。
髪の上から額にキスを落とせば、なるみはくすぐったそうに身をよじる。ああもうかわいい。
「大好きだよなるみ」
特別だって、はやく気づいて。