【完】姐さん!!
「これでもし俺がなるみのこと好きじゃなかったら、相当いろんなヤツから反感買うだろ。
見て分かるとおり、かなり一途だよ」
「……こないだも相当牽制してたもんね。
そんなに好きならさっさと付き合えば?」
「それができたら困ってねえよ~。
ウチのおひめさま、相当鈍感なんだよ」
言い返せば、「だろうね」と五月雨に一蹴される。
……ほぼ初対面でもわかるって、相当鈍感なのがバレてんじゃねえか。
「おひめさま……?」
きょとん、と。
俺の膝の上に乗っていた舞ちゃんが、不思議そうな顔で俺を見る。
これぐらいの歳の女の子って、やっぱりおひめさまとか王子さまとか、そういうのに憧れたりする年頃なのか。
どういうわけか、舞ちゃんに俺が「王子さま!」って言われてるけど。
「そうだよ~。なるみちゃんいるだろ~?
あの子が、俺の大事なおひめさまなんだよ」
「いさくんは、おねえちゃんの王子さまなの?」
……ああ、かわいい。
くすりと笑って「そうだねえ」と、それを肯定。浮気性な姫を持つと王子は苦労するんですよ。
「いさくんは、
どうしておねえちゃんの王子さまなの?」
無垢なひとみに、思わず苦笑した。
子どもの興味ほどまっすぐで正直なものってないと思う。さすがに水瀬が「舞」って呆れたように名前を呼んだけど、お構いなしの舞ちゃん。
キラキラした目を向けてくるから、誤魔化すこともできなくて。
やわらかい髪をそっと撫でて、口を開いた。
「俺にとって、なるみは。
小さい頃からずっととくべつな女の子なんだよ」