【完】姐さん!!
家が近くて親同士の仲が良かったから、物心ついた時にはもうずっと一緒だった。
誰より長い時間、なるみのことを見てきたから。
「俺が王子さまなんじゃ、なくて。
なるみが、ずっと俺のおひめさまなんだよ」
「……? だいすき……?」
「ふ。……そうだね」
ずっと好きだよ、と。
言えばある程度納得してくれたのか、舞ちゃんの興味はそこから逸れたらしい。小さい子に話すにしては難しかったかもしれないけど、嘘はついてない。
ずっとなるみだけ特別だった。
女の子と遊んできたけど、俺の気持ちはなるみにしか向かなかった。
なるみが、俺を好きじゃなくても。
その気持ちだけは、ずっと変わらない。
「……衣沙くんって。
ほんとはロマンチストでしょー?」
「否定はしない」
小さく息をついて、舞ちゃんがデザートを食べ終えたタイミングで会計を終えるとファミレスを出る。
ちなみに急に呼び出したお礼だからと奢ってもらえた。ラッキーだ。
「今日は急に呼び出して悪かったな。
ほら舞、お前もちゃんとお礼言え」
「いさくん、ありがとー」
水瀬の腕に抱かれてる舞ちゃんが手を伸ばしてくるから、近寄ればぎゅっと抱きつかれる。
その頭をぽんぽんと撫でて離れると、花の咲くような笑みを浮かべる彼女。将来モテるの間違いなしだな。
東と西じゃ、帰る方向はまったくの反対。
俺はここで解散、ってことで、その輪から抜けようとしたとき。