【完】姐さん!!
「いさくんっ」
水瀬の腕から降りたらしい舞ちゃんが、ぱたぱたと駆け寄ってきて。
くいくいと服を引かれて目線を合わせるように屈むと、舞ちゃんが俺の耳元にくちびるを寄せる。
「おねえちゃんと、
ずっとしあわせでいられるおまじないっ」
そう言われたかと思えば。
ちゅ、と頬に一瞬だけくちびるが触れた。
「がんばってね、王子さま」
幼いなりに、色々と理解してくれてるんだろう。
かわいすぎるおまじないに頬をゆるめて、「ありがとう」と舞ちゃんを優しく抱きしめる。
なるみさん、断じてこれは浮気じゃないです。
「どういたしましてっ。またね、いさくん」
「うん、またね」
ひらひらと手を振って、5人の元へ駆け寄っていく彼女を見送ったあと。
くるりと踵を返して、家の方へと歩き出す。
途中、信号待ちでスマホを取り出せば。
なるせから連絡が入っていたことに気づいて、スマホを耳に当てる。
「もしもし? どした?」
『あ、衣沙兄? あのさ……』
何かあったのかと心配したが、声色が落ち着いているから緊急事態ではないらしい。
それならもっと着信があってもおかしくないしな。なんて思いながら、「ん?」と呑気に返事した俺は。