【完】姐さん!!
「……ほんとに浮かれてる?」
「浮かれてるよ?
今すぐかわいい彼女にキスしたいぐらいには」
「っ、ここ公共の道路だから……!」
するとは言ってないのに、顔を赤くするなるみがあまりにも可愛くて。
抱きしめたくなるけど、それはそれで文句を言いそうだからやめておいた。もうすぐそこ学校だからね。散々イチャついてるけども。
「ふぅん?
公共の道路じゃなかったら、キスしてもいいの?」
「な、っ……」
顔を赤くして。
言葉にならない言葉を、紡ごうとするなるみ。
……その顔結構好きなんだよねえ。
ヘタレの自覚があった俺が言うのもなんだけど、両想いって分かったら、ちょっとだけ心に余裕が生まれたらしい。
なんだか、思わず意地悪してみたくなる。
瞳を潤ませて、「ばか」って貶すようなその言葉にすら口角が上がってしまうんだから仕方ない。
「まあ……
ふたりきりのときなら、いい、けど……」
「え」
「何よ……
どうせわたしらしくないとか思ってるんでしょ……?」
赤い顔で、涙目のままなのに。
それとは裏腹な積極的なセリフに、なぜかドギマギさせられてる俺。……どっちが上手なんだか。
確かに、なるみらしいかって聞かれたらそうじゃない。
だけど……そんな風に俺のことを受け入れようとしてくれる姿が、やっぱり最高に可愛く見えてしまうわけで。