【完】姐さん!!
それがどうかしたの?って顔で、俺を見るなるみ。
……その普通の信頼が怖いんだよ、俺は。
「いや。……この先色々あるだろうなって」
「この先? 結婚とかそういうこと?」
「そこまで先じゃねえよ」
付き合って3ヶ月以上経って、やっとなるみもキスに慣れてきたところだしな。
恋愛経験値ゼロで普通のキスしか知らなかったなるみに、大人のキスを教えるにしても時間がかかった。あと、拒まれないかなって緊張する。
「……衣沙兄ってさ、やっぱ不憫だよね」
それになるみには、一応トラウマがあるし。
結構俺の方が引いちゃってるから、服に手を忍ばせる勇気も今はまだ無い。
……けど、俺だって健全な男子高校生だし、ねえ。
いつかはそうなればいいなって、勝手に思ってるけど。
「不憫って言うのやめて、なるせ」
「だって姉ちゃん色々と知らなさすぎだから」
「いいんだよ、それで。
俺がゆっくり時間かけて教えていくから」
逆に知識とか経験のある女の子って、俺はあんまり好きじゃなかったりする。
まあ知識は良いにしても、男の経験が豊富よりは、何も知らないままでいてほしい。
「衣沙にしては、我慢してるよね」
ふっと笑う兄貴とミラー越しに目があって、イラっとする。
我慢してないから。俺は、まだ何も知らなくて純情ななるみの反応を楽しんでるんだよ。