【完】姐さん!!
「焼けそうだな」
「そうね。日焼け止め塗った?」
「あー……塗ってねえわ。
あとで塗ろうと思ってたけど、テント出て砂の城つくってたら忘れてた」
「焼けちゃうわよ? せっかく肌綺麗なのに」
ふたりで歩いてたら、まわりからの視線を感じる。
なるみには必ずと言っていいほど男からの視線が向けられるし、特に男子の学生の集団の隣を通り掛かったら、絶対みんな振り返る。
「じゃああとで塗る。
届かねえとこは、なるみが塗ってくれる?」
誰から見たって美人な、俺の幼なじみ。
そして今は世界一かわいい俺の彼女。
「え、わたしが塗るの?」
「だって届かねえなら自分じゃ無理だし。
……満月ちゃんたちに頼むのもなんか違うし、男同士は絵面的にキツい」
っていうか兄貴となるせが「絶対嫌」って言う。
だから必然的になるみに頼もうって思っただけだ。別にやましい感情とか何もなかったんだけど。
「……恥ずかしい」
なるみはなぜか恥ずかしがってる。
……改めて触るってなると、女の子からすれば恥ずかしいものなのか。なるみピュアだしな。
「……なるみ」
ある程度歩いて、手は繋いでいるけど一歩先を歩いていたなるみを呼び止める。
振り返る動きに合わせて、風にはためくワンピース。