【完】姐さん!!



「焼けそうだな」



「そうね。日焼け止め塗った?」



「あー……塗ってねえわ。

あとで塗ろうと思ってたけど、テント出て砂の城つくってたら忘れてた」



「焼けちゃうわよ? せっかく肌綺麗なのに」



ふたりで歩いてたら、まわりからの視線を感じる。

なるみには必ずと言っていいほど男からの視線が向けられるし、特に男子の学生の集団の隣を通り掛かったら、絶対みんな振り返る。



「じゃああとで塗る。

届かねえとこは、なるみが塗ってくれる?」



誰から見たって美人な、俺の幼なじみ。

そして今は世界一かわいい俺の彼女。




「え、わたしが塗るの?」



「だって届かねえなら自分じゃ無理だし。

……満月ちゃんたちに頼むのもなんか違うし、男同士は絵面的にキツい」



っていうか兄貴となるせが「絶対嫌」って言う。

だから必然的になるみに頼もうって思っただけだ。別にやましい感情とか何もなかったんだけど。



「……恥ずかしい」



なるみはなぜか恥ずかしがってる。

……改めて触るってなると、女の子からすれば恥ずかしいものなのか。なるみピュアだしな。



「……なるみ」



ある程度歩いて、手は繋いでいるけど一歩先を歩いていたなるみを呼び止める。

振り返る動きに合わせて、風にはためくワンピース。



< 213 / 263 >

この作品をシェア

pagetop