【完】姐さん!!
気づいたときは、いつも底抜けに優しくしてくれて。
わたしが情緒不安定になっても、「大丈夫」って抱きしめてくれる衣沙に、付き合ってからは何度も甘えてる。
「ふたりだし、気遣わなくていいから。
……薬飲む? それとも休憩する?」
「薬飲んで……休憩したい」
「ん、ならそうしよっか。
そこに自販機あるし、すぐ水買ってくるわ」
そこ座って待ってな、と。
すぐそばの石段を指さされて、素直にそこに座る。座っただけですこし痛みがマシになったような気がしたけど、完全に消えてくれるわけではなくて。
「ん。水冷たいけど大丈夫?」
「うん……へいき。ありがとう」
水を買ってきてくれた衣沙が、わたしの隣に座る。
……あれ?ここで止まってくれたのって、もしかして石段があって、しかも近くに自販機があるのわかってたから?
「衣沙がいい彼氏すぎて泣きそう……」
「泣いたらメイク崩れるよ。
シャワー浴びてからもっかいメイクしたんだろ?」
「……だって衣沙優しいんだもん」
ちょうどこの場所なら花火は見えるけど、人混みってほど人も多くないし。
……なんでそんなに優しいかな。これが片想いの長さの違いなの?
「……なるみのこと、大事にしたいだけだよ」
バッグから出した薬を飲んで、衣沙に寄り掛かる。
肩を抱き寄せてくれて、なんだか心地よかった。