【完】姐さん!!
「なんで衣沙なんだか……」
「……朝一でケチつけんのやめてもらっていい?」
「………」
「無視ですか、お嬢さん」
行き場のないこの気持ちを、一体どうしろと。
平然と「本命はなるみ」だなんて言い放つこのいい加減な女たらし相手に、恋愛初心者のわたしがどう対応しろと。
「昨日の夜はさぞかし楽しかったんでしょうね。
わざわざ霧夏を放ってまで行くんだから」
どうすればいいの。
どうすれば、わたしのこと、見てくれるの。
「……なんか怒ってる?」
「別に。お気楽だなって思っただけよ」
「……怒ってんじゃん」
霧夏を放って衣沙がどこかに行くのはもういつものことだから、正直どうでもいい。
だけどわたしよりもほかの女の子を優先されるのがすごく嫌だなんて、言えないし。
「よかったわね、今日から新入生と顔合わせられるじゃない。
年下の女の子にいっぱいモテそうで何より」
「昨日俺が先に帰ったから怒ってんの?」
「自分で考えてみれば?」