【完】姐さん!!
なんて可愛げのない。
自分で自分にそう思ったと同時に、衣沙が同じようなことを思ったって顔をしたから、余計に気持ちが沈む。……自己嫌悪だ。
「なるちゃんさ、」
「わたしも「衣沙が本命」って言って遊ぼうかな」
「は……!?」
「このままじゃ一生彼氏できそうにないし」
作る気がないのは衣沙のことが好きだからだけど。
そんなことを言っていたら、本当に乗り遅れてしまいそうだし。ちょっとは衣沙に対する嫌味の言葉だったのに、衣沙は「は!?」ともう一度大袈裟に驚く。
……なによ、その態度。腹立つんですけど。
「いやいや、やめとけって。
ファーストキスすらまだの人間がなに言ってんの」
「……わたし、キスしたことないなんて言った?」
「は……?」
衣沙が、足を止める。
それにつられて思わず足を止めそうになったけど、衣沙が本気でぽかんとしているからちょっとだけ勝ったような気分になって、わざと放って歩き出した。
「いや、ちょ、待っ……!
マジで今日お前何なの……っていうかファーストキスの相手誰だよ!?」
「声デカいうるさい。迷惑だからやめて」
「なるみ、」