【完】姐さん!!
「スカート、折ってんの?」
「……折ってる」
「なら戻して。
露出してもどうせ誰も見てねえんだから」
「あんたほんと失礼よね」
……見てないどころかちゃっかり見られてるけどな。
どうせ「見られてる」って言ったところで気のせいだって笑うだけだろうし、これだからなるみって面倒だ。
「………」
挙句に、遊ぼうかなって言ったり、キスしたことあるとか言い出すし。
……無邪気に放たれる言葉に俺がどれだけ動揺するかも知らないで。
「手ぇ繋ごうよ、なるみ」
「……なに急に」
「いいじゃん、付き合ってんだし」
ニヤニヤとなるみを見ている男たちの隣を通り過ぎる瞬間に、わざとらしくそう言って強引に手をつなぐ。
そうやってつないだのはいいけど、普段どんな風に手繋いでたっけ?なんてばかなことを思うぐらいには、平常心でいられない。
ちがうことを考えていないと、意識するから。
なるみのいる方だけ妙に熱く感じてきて、我ながらわかりやすすぎて呆れる。
なるみが好きな相手が、兄貴じゃなかったら。
……迷わず、俺にしとけよって言えるのに。
「……もっとショック受けるかと思ってた」