切ない春も、君となら。
すると基紀君は、近くにいた近田君に

「あ、総介! 今日部活ない日だろ? カラオケ行こうぜ!」

と声を掛けてくれた!

わああグッジョブ過ぎる基紀君……! 心の中でとは言え失礼なこと言っちゃってごめん! 感謝します!


だけど近田君は。


「俺はいいや。自主練でもしようかと思ってたし」


とお断りされてしまった。


部活がお休みの日も自主練をするなんて、近田君はバスケに対して本当に真面目だ。
ううん、バスケだけじゃなくて何事に対しても真面目な人なんだ。
近田君も私のこと真面目って言ってくれたけど、私近田君のそういう真面目なところ、本当にいいなと思う。


だから、自主練なら仕方ない。うん、仕方ない……



「い、一緒に行こうよっ!」


私はつい、近田君にそんなことを言ってしまっていた。

私にまさかそんなことを言われるとは思っていなかったであろう近田君は、二重の丸い目を更に丸くさせて、ぱちぱちと瞬きしながら私を見る。


「あ、えーと……」

私、すっごい面倒臭い奴だよね⁉︎ 近田君は行かないって言ったばかりなのにこんな風に誘ったりして……。


でも、放課後も近田君と一緒に過ごせたらいいなって思った。
もっと仲良くなりたいなって思った。


私、わがままかな……。
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