メトロの中は、近過ぎです!
「はい。到着」

そう言われて前を見ると、目の前には広大な海。

広い駐車場には私たち以外には車はいない。

「ここどこ?」
「九十九里浜」
「広いね」
「来たことないのか?」
「うん。初めて…」

なんか寂しい女だと思われたかもしれないけど、そんなのどうでもよかった。
ただ目の前の海に感動してしまう。

「降りる?」
「うん」

車から出ると風が強くて寒かった。

「さむー」

両腕をさすりながら叫ぶ。
叫ぶと段々楽しくなって、

「厚着してこなきゃだったね」

風にもてあそばれる髪を一つにまとめながら運転席の方に行くと、大野さんは車の後ろからタオルケットを出していた。

「なんでもあるね」
「俺の四次元ポケット」

にっこりして受け取ろうとすると、突然手をひかれた。

タオルケットの中に二人で入っている。

「こうするとあったかいだろ」

まるで抱き合っているような格好に固まってしまった私を、大野さんは笑いながら見下ろしている。


これは、かなり心臓に悪いんですけど…
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