メトロの中は、近過ぎです!
「新しい事業部ができるというのは前にも話したな」

課長の第一声でイヤな予感が的中したと分かった。

「おまえたち二人がその新規事業部に配属になった。おめでとう」
「待ってください、課長。そのお話お断りできませんか?」
「そうですよ。俺も3課から出たくないです」

戸田君も私も必死に食い下がった。

「おまえらなー、もっと喜べよ。新規事業の立ち上げなんてそうそう経験できるもんじゃないぞ」
「でも私がいなくなったら誰が課長の髪の毛を守るんですか」
「あほか!おまえがいなくてもこの大事な髪の毛はなくならん!」
「お願いします。課長。追い出さないでください」

本気で頭を下げた。

「あのな、佐々木。今度できる4課は大野がメインなんだぞ」

息が止まった。

「俺は本社にまだ早いと言ったんだ。大野も自分には荷が重すぎると何度も断った。南あたりにさせるのがいいと言ったんだが、南はあの調子で断固拒否だ」

課長はそこでため息をついた。

「だから俺が一応4課の課長だ。3課と兼任になった。場所も当初はここになる」
「ここって人形町支社の中ですか?」
「ああ。この会議室が準備室だ。あとでおまえたちで片付けとけ」

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