メトロの中は、近過ぎです!
パソコンの後ろに大野さんの足が止まる。

逃げるように床にしゃがんで、足元に置いた資料を探すフリをした。

「何やってんだよ」

明らかに不機嫌そうな声。

「仕事じゃん」

喉が痛い

大野さんが机を回り込んできた。
目の前にスーツの足が見える。
しゃがんで私の顔を覗き込むから、私は顔が髪で隠れるようにうつむいた。

「どうしたんだよ」

顔を見られたくないんです。
どうか察して、立ち去ってください。

なのに優しく頭に触れてくるから……
そんなことされたら、せっかく我慢している涙がこぼれそうになるじゃないか

大野さんの手が、資料の上で止まっている私の手首を掴む。
条件反射でその手を思いっきり振り払ってしまうと、その反動で後ろにしりもちをついてしまった。

「あ……」

大野さんと目が合った。
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