メトロの中は、近過ぎです!
大野さんにも首の赤い跡が見えてしまってるんだろう。
下田では無かったその跡が……
大野さんには見られたくなかった。
首を隠してみたけど、もう遅い。

シンさんが私のアゴに手をかけ上を向かせ、スカーフを肩にかけた。
その流れで首元のシャツが更に開かれたのに気付いた。

わざとだったんだ……

一連の行動は大野さんにキスマークが見えるようにわざと仕向けられたもの。
シンさんが怖い。
徹底的に私を自分のものだと誇示したいんだ。

シンさんの大野さんに対する態度が全然違う。
私が大野さんに惹かれてるって信じ込んでる。

信じ込んでる?

間違ってない。
私は大野さんに惹かれてた。
シンさんを裏切ってるって気が付いてたのに、止められなかった。

だとしたらこれは当然のことなのかもしれない。

だけど……シンさんのところに戻らなきゃいけないんだろうけど……それは出来ないって、心が叫んでる。

「行こう。マホ。寒いところはお腹の子にも良くないよ」

バっと顔を上げると、シンさんの顔の向こうに驚いている大野さんの顔が見えた。

「…な……」
んてことを言うんですか!

その言葉さえ声にならない。
< 257 / 309 >

この作品をシェア

pagetop