メトロの中は、近過ぎです!
大野さんが来なくなって三日が過ぎた。
分かっていたつもりだったけど、やっぱりノックの音がすると期待してしまう私がいる。

今日は、母がやってきていた。
父は娘のそんな姿は見たくないとかで、一度もお見舞いには来ていない。

「でもね。お父さん来ると面倒くさいことになりそうだから、来なくてちょうど良かったわよ。今日ははると君はいないのね?」

大野さんはいつの間にか母のお気に入りになっている。

「もう来ないよ」
「なんで?ケンカでもしたの?」
「そうじゃなくて…今、仕事も忙しいし…」

なんか敢えて付き合ってないと言うのも恥ずかしくて、否定できないでいた。

「寂しいのね?大丈夫。すぐに来てくれるわよ。真帆が寝てた二日間は、はると君ここから仕事に行ってたようなもんだったからねー」
「ここから?」
「そうよー。朝、ここから会社に行って、夕方、仕事が終わったらすぐにここに来てた」

知らなかった。
正直そこまでとは思っていなかった。

もう一度、会いたい。

なんて諦めの悪い私。

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