メトロの中は、近過ぎです!
「香織…」

優さんが伊藤チーフを下の名前で呼んだ。

チーフがこちらに背を向ける。

ミーティングルームの中に入っていった優さんは、チーフの腕をつかんで振り向かせようとした。

「離してっ」

チーフが腕を振り払おうとしているけど、その距離がどんどん近付いていく。


私はその場から動けずに、ぼーっとその光景を見ていた。

ふいに肩をひかれ横を見ると大野課代。
私にミーティングルームから出るようにって合図する。

一歩ドアから離れると、目の前で静かに閉まるドア。


一連の出来事がまるで映画を見ているようだった。





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