メトロの中は、近過ぎです!
「真帆ちゃん、送るよ」
髪をかきあげながら、川端主任が言ってきた。

もしかして、本当に狙われてる?

背筋に冷たいものを感じた。
今までなんとも思っていなかったのに、課代のせいで変に意識してしまう。

「私、今日は電車で帰ります」

「じゃあ俺も電車で帰ろうかな~」

そう言って主任が近寄ってきた。

「主任。佐々木に手出さないでくださいね。
じゃあ私はあっちの駅なんで、お疲れ様でした~」
って幸せオーラ全開の伊藤チーフは帰っていった。

主任は、
「そんなことするかよ~」
なんてチーフの後ろ姿に声をかけている。

ヤバイ?
いや、でも電車だし、大丈夫だよね。

「行こうか、真帆ちゃん」

って、川端主任が手なんか伸ばして待ってる。

それは、手を繋いで行こうってこと?
やっぱり狙われてる?
まさか…

「主任、それは…あはは…」

笑ってごまかして、主任の横をすり抜けて駅に向かおうとしたら、後ろからいきなり肩を抱かれた。
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