メトロの中は、近過ぎです!
課代は私を睨んで

「誰のせいでそうなったんだよ」

ものすごく不機嫌な課代

「……すみません」

今日の川端主任の態度がなかったら「課代の思い過ごしです」って言えたのに。

狙われてたんだ。
あの素敵な川端主任が、結婚もしてて良い旦那様って感じの人なのに、
「送らせて」耳元で囁かれた言葉を思い出して、鳥肌が立つ。

「課代、今日も車で寝るんですか?」

「それだけはやりたくないんだよ。眠れねーし…」

本当にすみません。

こんな遠くに来たら、もう逗子に帰るのは無理だろう。
川端主任から守ってくれたんだと思うと、この前の暴言も分かる気がする。

いつのまにか課代は真正面で私を見ている。

「佐々木さん、明日の業務にも支障が出るので、今夜は泊めていただけませんか?」

少し顎を引いて微笑んだその顔は、爽やか好青年…の仮面を被った大野課代。

私は一度瞬きをしてから答えた。

「無理です」

はんっ、と課代はまたシートにもたれて毒づいた。

「今日は帰りたかったんだよ。こうなったのはおまえのせいだろが。泊めて、もてなして、ってされても当然だろ」
「でも…」
「なんだよ」
「襲われたら…」
「襲うかっ」

最後だけやたら強めに否定された。

「なら、ゲームで決めようぜ」
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