侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
「ルースには……、あいつには惜しげも無く笑顔を振りまいていたのに」
ぽそりブツブツ。

「あいつなんて言い方よして下さい」

「私はあいつより、年齢も爵位も上だ。許される」

悪びれもせず言って、グラスを呷る傲慢侯爵。

カッチーン!
お酒が入った私の辞書に『気遣い』『遠慮』『無礼』の文字はありません。

フッと鼻先で笑って、
「出た出た出た、プライドエルエル俺様侯爵!! わたくし貴方のそういう偉そうなところが、あ~ら失礼、爵位だけはお偉いんでしょうけれど、ほぉんと癇に障るんですわよ」

さらりと毒づけば、目を丸くして

「どうして君は、そう可愛げの無い事ばかり言うんだっ!!」

「さあ、どうしてだか」
小馬鹿にしたように右から左に受け流し、
「先ほどの話に戻りますけど、アンディーは気さくでユーモアがあって一緒にいると楽しいですもの、自然に笑顔にもなりますわ」と。

「う、裏を返せば私といても、楽しくないということかっ!?」

「そんなこと、わたくしの口からは言えません、ほほほほほ」

レイモンド様は息を飲み、目を見開いて口をパクパク。

女性がみんな貴方といると、楽しいとでも思ってました?
偉そうだったり不機嫌だったり、楽しいわけがないでしょー!! 

心の中でキャンキャン吠えるも、憮然として顔を背ける姿に、ちょっと悪ノリし過ぎたかも? とチラッと思いましたが殆ど気にも留めず、食べかけのロブスターをまたパクリ。美味しい~!

「侯爵様、このロブスターとっても美味しいですわよ。せっかくのお料理です。いただきましょう?」

微笑みながら可愛げがあるように言ったのに、あらら、やっぱりこの人ちっとも食べないのねえ……。

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