侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
「……あの、わたくしのような十人並みの娘に断られたなんて、侯爵様の宝石のような自尊心が許せないのでしょうが、貴方との事はもろもろ全て綺麗さっぱり忘れますので、どうかご安心下さいませ」
さすがに『綺麗さっぱり忘れます』は言い過ぎかも知れませんが、心情的に嘘偽りはございません。
「ではこれで、失礼します」
サッと腕を引き抜こうとしましたが、あえなく失敗。くぅぅ
「待ちたまえ、散歩はまだ終わっていない」
そんなに強く掴んだら痛いって!
「そういえばあいつ、レースで優勝したら君の事が欲しいって冗談めかしてほざいてたな? まあ、優勝なんて無理だろうが、あの様子じゃ今後も懲りずに求婚してくるだろうけど、君はどうするんだ?」
揶揄うような口調でおっしゃって、私の顔を上から目線でご覧になりました。
「前にも申し上げましたけど、アンディーは大切なお友達ですから、『あいつ』なんてお止め下さい。……もし彼が言った言葉が本当に求婚なのだとしたら、愛情に基くものだと思いますから侯爵様のプロポーズとは違います。真剣に悩みますわ」
あ、顎が上がって片方の眉も吊り上がった。
「ふ~ん、君はルースの事を男として好きなのか?」
「ほほほ侯爵様、あなたにそんな事お答えする義務はございませんでしょう?」
せせら笑うように言った言葉が気に障ったのか、レイモンド様は立ち止まり、罰するように私の腕を強い力でぐっと握りしめたのです。
だからさっきから痛いってぇぇ!
さすがに『綺麗さっぱり忘れます』は言い過ぎかも知れませんが、心情的に嘘偽りはございません。
「ではこれで、失礼します」
サッと腕を引き抜こうとしましたが、あえなく失敗。くぅぅ
「待ちたまえ、散歩はまだ終わっていない」
そんなに強く掴んだら痛いって!
「そういえばあいつ、レースで優勝したら君の事が欲しいって冗談めかしてほざいてたな? まあ、優勝なんて無理だろうが、あの様子じゃ今後も懲りずに求婚してくるだろうけど、君はどうするんだ?」
揶揄うような口調でおっしゃって、私の顔を上から目線でご覧になりました。
「前にも申し上げましたけど、アンディーは大切なお友達ですから、『あいつ』なんてお止め下さい。……もし彼が言った言葉が本当に求婚なのだとしたら、愛情に基くものだと思いますから侯爵様のプロポーズとは違います。真剣に悩みますわ」
あ、顎が上がって片方の眉も吊り上がった。
「ふ~ん、君はルースの事を男として好きなのか?」
「ほほほ侯爵様、あなたにそんな事お答えする義務はございませんでしょう?」
せせら笑うように言った言葉が気に障ったのか、レイモンド様は立ち止まり、罰するように私の腕を強い力でぐっと握りしめたのです。
だからさっきから痛いってぇぇ!