侯爵様のユウウツ 成金令嬢（←たまに毒舌）は秀麗伯爵がお好き？

「僕は、君の出自を蔑んだ事など一度も無いぞ」

思わず吹き出してしまいました。
「ふふふ…どのお口がおっしゃるんですか？　ふふふ、あぁ可笑しい……」
笑い続ける私に向かってレイモンド様は、　
「あ…、いや以前メイヤー殿に対し、その…君にも少し言葉が過ぎてしまった事はあるが、断じて本心では無い…、僕はその…とにかく誤解しないで欲しいんだ」
ごにょごにょ決まり悪そうに言葉を並べるレイモンド様が、図らずも少し可愛く思えました。

「ほほほ、そうですか、でももうどうでも良いですわ」

苦笑交じりにさらりと流すと、レイモンド様はまたブツブツ。
『良くない』と聞こえたような気もしましたが、声が小さ過ぎてよく分かりません。
『良いなら良い』だったかも？

「アンディーは、私には勿論父にも失礼な態度なんて取りませんし、弟にもとても優しくしてくれますの。彼といると昔に戻ったような気持ちになれますし、私にとって彼は伯爵では無く、ただの幼馴染のアンディーですわ」

口元を綻ばせる私に、レイモンド様は鋭く尖った視線を投げます。

な、なによ！？


「メイヤー殿や君の弟に、いつあいつを会わせたんだ！？」