御曹司のとろ甘な独占愛
「ふぅん? まあどちらにしろ、すぐに終わりは訪れるわ」

 怡菲は、思い込みの激しい滑稽な愛人でも見つめるような視線を投げ、自らの右薬指にしている極上の翡翠を撫でた。

「どういうことですか……?」

「だって、もうすぐ『華翡翠』コレクションの記念すべき十周年セレモニーがあるからよ」

 彼女は歌うようにそう言って、ほぅ……と美しく溜息をついた。

「伯睿は劉家と李家のお食事会で以前こう言っていたの。“五年前に大切な人と出会って、美しきものを感じた。その感情を翡翠とともに表現していきたい”って」

 あれは伯睿が十七歳くらいで、私が十三歳の頃だったかしら? と彼女は遠い記憶に想いを馳せる。

「当時の五年前と言えば、叔父様と叔母様の結婚式で私と伯睿が初めて出会った時。……つまり伯睿は私に愛を誓って、十年前から『華』翡翠コレクションを始めたの。十周年セレモニーで『華翡翠』コレクションは次の段階へ進むことになる。それってきっと、私との関係もそうなのよ」

 夢見る乙女のように怡菲は嬉しそうに小さくクスクスと微笑む。
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