御曹司のとろ甘な独占愛
「それで、今日は何で午後休を取ったの?」

 デザートの水物を頂きながら、一花は首を傾げる。瑞々しい西瓜は、日本のスイカと同じくらいに甘い。

 伯睿は「知らせるのが遅くなってしまいましたが」と前置きをすると、途端に仕事の顔になる。

「今夜は、明日から行われる台北貴賓ジュエリーショーのレセプションパーティーがあるんです。ジュエリーショーは貴賓翡翠が主催なので、俺はホストとしてパーティーに参加します。一花にはこれからドレスアップやヘアメイクをしてもらって、便宜上は副社長秘書として俺に同行を――」

「レセプションパーティー!? それに、副社長秘書!?」

 突然過ぎる大イベントに飛び上がるほど驚いた一花は、テーブルに両手をつき身を乗り出した。

「そんな! 突然すぎるよ……! だって、パーティーなんて初めてだし……、それに! 秘書なんてどうしたらいいか……っ!」

 一花は両手で自身を抱きしめてガタガタと震える。

 大学在学中から日本貴賓翡翠入社を目指し、憧れの翡翠販売員へ就職した一花にとって、副社長秘書という職業は雲の上のような役職だった。

 多くのエグゼクティブを前にして翡翠を販売するならば自信はあるが、秘書としてエグゼクティブを接待するなんて、正直どのように振る舞えば良いのかわからない。
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