御曹司のとろ甘な独占愛
 その場所が更にパーティーなんて、尚更どう振る舞えばいいのか想像もできなかった。
 あまりの大役に、今までの憂鬱な気持ちが吹き飛んでしまうほどの衝撃を受ける。

「大丈夫。一花は俺の隣で微笑んでいてくれれば。それだけで十分です」

 本来ならば秘書同士の情報交換やコネクション作りなどもあるが、伯睿はそれを一花に望んでいるわけではない。

「え、ええっ……。逆に不安だよ……」

 軽い調子で副社長秘書の役割を話した伯睿に、一花は脱力する。

(とにかく、伯睿や貴賓翡翠の品位を貶めないように、精一杯サポートしなければ……っ!)

 小動物のように震えながら、一花は今夜の大イベントに備えて祈るように両手を握りこんだ。


 ◇

「すみません、ロイヤルスイートが空いていなかったので……」

 申し訳なさそうな表情で案内された、ホテル・エテルニタ台北のスイートルームは、驚くほど広かった。人生で初めてスイートルームへ足を踏み入れた一花は、豪邸そのもののような間取りや調度品に圧倒される。

「わぁあ~っ!」

 感嘆の声を上げながら廊下を進めば、リビングルームには既に数人の女性達が一列に整列していた。
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