御曹司のとろ甘な独占愛
「嗚呼、可哀想なあたくしの子……。あなたはもう忘れ去られているのよ。哀れな牽牛は、いつまで河岸で待っているんでしょうね? 彼女はもう、他の男のものかもしれないのに」
「お義母様。……それ以上おっしゃるようでしたら、俺も怒りますよ」
歌うように皮肉ばかりを連ねる義母を、伯睿は冷たい瞳でスッと睨みつける。
「貴方には怡菲(イーフェイ)がいるの。伯睿、わかってちょうだい。怡菲だけが、貴方が愛すことを許された女性なのよ」
「そのことは以前申し上げましたよね? 怡菲と婚約する気はありません」
「怡菲には貴方と婚約する気があるわ。とにかく、勝手な真似は許しませんから」
言いたいことだけ言って満足したのか、義母はくるりと背中を向ける。それから、感情を表すように、バンッ! と大きな音を立てて扉を閉め、副社長室から出て行った。
伯睿はフーッと息を吐く。
心底鬱陶しいと思ったものの、義母が父を支え続けているから貴賓翡翠があるのだと思うと、無下にすることはできなかった。
なんで義母を選んだのか。眼のない父を憂う他ない。
更に、義母の姪まで出てくるようになった。また折を見て怡菲を諭さなければいけないな、と伯睿は頭を抱えた。
「お義母様。……それ以上おっしゃるようでしたら、俺も怒りますよ」
歌うように皮肉ばかりを連ねる義母を、伯睿は冷たい瞳でスッと睨みつける。
「貴方には怡菲(イーフェイ)がいるの。伯睿、わかってちょうだい。怡菲だけが、貴方が愛すことを許された女性なのよ」
「そのことは以前申し上げましたよね? 怡菲と婚約する気はありません」
「怡菲には貴方と婚約する気があるわ。とにかく、勝手な真似は許しませんから」
言いたいことだけ言って満足したのか、義母はくるりと背中を向ける。それから、感情を表すように、バンッ! と大きな音を立てて扉を閉め、副社長室から出て行った。
伯睿はフーッと息を吐く。
心底鬱陶しいと思ったものの、義母が父を支え続けているから貴賓翡翠があるのだと思うと、無下にすることはできなかった。
なんで義母を選んだのか。眼のない父を憂う他ない。
更に、義母の姪まで出てくるようになった。また折を見て怡菲を諭さなければいけないな、と伯睿は頭を抱えた。