御曹司のとろ甘な独占愛
 伯睿は一花を抱き上げたまま庭園を抜け、邸宅の中へ向かうと、自室の寝室の扉を開いた。
 広いベッドへ一花を優しく横たえる。そして余裕のない様子で、一花へ覆いかぶさった。

「んう、はくえい……っ」

 一花は伯睿にされるがままに、甘い痺れを享受し続ける。
 熱い舌で何度も丁寧に蕩けるようなキスをされ、幸福感と気持ちよさで、どうにかなってしまいそうだと思った。

 せっかく頑張って着付けた浴衣は、いつの間にかはだけてしまっていた。

 太腿へ伯睿の手が這わされ、一花は「あ……っ」と思わず声をもらす。
 伯睿の王子様のような美貌は、今や切な気な情欲に濡れていた。

「今夜は、キス以上のことを我慢できそうにない――」

 悩ましげな表情で、伯睿は苦しそうに甘い声音を絞り出した。
 獰猛な猛禽類のような瞳には、熱すぎるほどの愛情や欲情が滲んでいる。

 一花の心臓はどきどきと鼓動を早める。身体中が熱い。伯睿の全てが愛おしくてたまらなかった。

「もう、キスだけなら――なんて、言いませんよね?」

 続きを促すように、伯睿は熱っぽい視線を送る。それだけで、一花の身体には甘い痺れが走った。

 一花の長い睫毛がふるりと震える。

「……キス以上のことも、……して、いいよ」

 絡み合う視線の熱にたえられずに、一花は視線を泳がせ……伯睿を上目遣いで見つめた。
 伯睿は、誰もがうっとりとするような魅惑的な笑みを口元に浮かべる。

「……愛しています。世界で一番美しい、俺だけの――」

 そしてどこまでも深く落ちていきそうな、低く甘い声音で囁いた。

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