妄想は甘くない
新郎新婦をフラワーシャワーで出迎えたのち、ブーケトスの運びとなった。
屋内のチャペルだが周囲には草花が植えられており、ガラスで形作られた天井から燦々と陽の光が降り注いで上部は明るく開けている。
「女性の方、どうぞ前方へ」
皆気恥ずかしそうな素振りを見せながらも、周囲に倣って一歩前へ出る。
花嫁の手から大きく振り上げられた花束に、一斉に視線が注がれた。
全く取りに行くような気はなかったにもかかわらず、それは胸元に飛び込んで来てしまい、咄嗟に両手を広げた。
思いがけず注目を浴びる羽目になり、拍手を送られると染まった頬と高鳴る心臓を感じ取った。
促されるままにふたりの側へ寄ると、穏やかに微笑む近藤と目を合わせて、ひとまず頭を下げる。
「本日はおめでとうございます。近藤、綺麗……」
「ありがとう。次は宇佐美の番みたいだね~」
嬉しそうにいつもの明るい笑顔が弾けて、何故だか胸を熱くした。
目の前の淡い黄色やピンクの可憐な花々に、僅かに視線を落とす。
「わたしは……」
「……後悔、ないようにね」
本当に近藤ではなくなった人の唇が薄く弧を描くと、先日のやり取りが再び脳裏に蘇った。
このパーティーで彼と顔を合わせることを知っての取り計らいだったのだろうか。