妄想は甘くない
無事に受付も終了し、胸を撫で下ろしつつ披露宴会場の席に着く。
席札の裏に記された花嫁からのメッセージに目を細め、隣の佐多ちゃんと見せ合った。
盛り上がりが落ち着くと、反対側に座った矢野くんが少し身を寄せて来て囁く。
「ブーケ貰ってたけど、結婚考えてる人いるの?」
「えっ? そんなつもりは……ないけど。受け取るつもりもなかったんだけど、たまたま」
苦笑いで掌を広げると、僅かに頬を染めたような顔が言葉を続ける。
「おれも、そろそろ結婚したいんだけどさー……」
「そうなんだ」
良い人がいるのかと思案していると、こちらへちらりと視線をくれてから俯いた。
その仕草に若干の違和感を覚えながらも、あまり深く考えなかった。
「宇佐美、付き合ってる人がいないんだったら……」
矢野くんが神妙な面持ちを向けた瞬間、照明が落とされ開宴を知らせる。